私は30歳のとき、もう一回人生を初めからやり直そうと決めました。日本を出てアメリカに行き、誰も私のことを知らない場所で、もう一度「本当に自分がなりたい自分」をつくっていこうとしたのです。日本を出るときは、それまでの人間関係をすべて断ち切るという思いがありました。自分が築いてきた実績や人脈をすべて捨てれば、アメリカでの1日1日を大切に過ごし、後悔しないような生き方ができると思ったからです。
目的意識を持って、毎日を全力で生きていかなければ、また同じような人生を歩んでしまうという感覚がありました。だから、初めの2年間は、他の留学生と交流することをなるべく避けていました。自分の生まれた国を出るということは、「自分が外国人である」という体験をすることです。私の価値観が否定されることもあるし、私の常識が非常識だと非難されることもあるのです。
だから、孤独になって苦しいときがあるので、多くの留学生は、自分の国の人達で固まってしまう傾向があるのです。しかし、私はあえて日本人留学生とは距離を置き、もっと自分のことを知ろうと努力をしたり、もっとアメリカのことを理解しようと努力をしました。
自分の人生を生きるとは、時間の使い方を自分でデザインすること
日本にいたときは、自分が好きなことや、自分が本当にやりたいことが分からないのに、やるべきことがたくさんあって忙しい生活をしていました。しかし、それまでの「やるべきこと」をすべて手放し、アメリカに来て初めて、「自分の人生を自分でつくっていける」という感覚を持つことができました。
自分の人生を生きるとは、自分の生命時間をどう使うか、自分でデザインすることだと思います。もちろん、みんな自分の人生を生きていると思っているはずです。しかし、人生で多くの時間を費やす仕事をしているとき、「これは自分で選んだ時間の使い方だ」と自信を持って言い切れるでしょうか?
自分の人生を生きるとは、自分の貴重な生命時間を、自分でコントロールすることです。自分の理想のライフスタイルを実現するために、どこにどれだけ時間とエネルギーを費やすか、ということを自分で決めることなのです。
時間に縛られることで、自分の人生を生きている感覚が失われる
もちろん、会社で働いていれば、定刻に出社して定刻まで働く、というルールに従うのは仕方がありません。しかし、「その時間の使い方は自分で決めたことだ」という主体性がなければ、自分の生命時間を他の誰かにコントロールされていることになります。自分の意思とは関係なく、上司や取引先に、自分のスケジュールを強引に変えられるようなことが多くあるとしたら、それは、自分の人生を他人に支配されている、ということになるのです。
自分が自分の生命時間をコントロールするはずなのに、時間があなたをコントロールするようになってしまうのです。すると、時間に追われるような感覚を持つようになり、自分の人生を生きている感じがしなくなるのです。
時間のコントロールを取り戻そう
自分で人生をつくっていくには、時間の使い方を決めるのは自分だということを、明確に認識することです。そして、少しずつでも、「どこにどれぐらいの時間を費やすのか?」という選択に、自分の意思を介入させていくことが重要です。「言われたからやる」「誘われたから行く」という、オートマチックな意思決定をだんだんと減らしていくのです。
それが、自分の人生を自分で構築していくための、初めの第一歩になります。人生とは、あなたの生命時間のことです。あなたの生きている時間が、人生なのです。その時間の使い方を、誰かに決められていたら、人生が苦しくなっていくのも当然のことです。だから、少しずつでも、自分の意思で時間の使い方を決めていってほしいと思います。自分でコントロールできる時間が多くなればなるほど、あなたの人生の幸福度は上がっていくのです。